プロフィール①の続きです。
挫折③:就活の壁
さて、大学に入ったはいいものの、もともとの髪質コンプレックスと知り合いゼロの田舎者でコミュニティになじめず、結局ひきこもりがちなのは変わりませんでした。
ただ、幸いにも少数の大切な友人はでき、いつも一緒に遊んでましたね。
とても楽しい思い出ができました。
しかし、ここでまた試練が訪れます。
新卒の就職活動です。
今は知りませんが、その当時就活生が集まるイベントにて私のようなスキンヘッドの就活生は皆無でした。
就活をするとほぼ必ず面接官に聞かれます。
- その髪型はなんで?
- その髪型はいつから?
- 社会人としてはどうかな。
- これからお客さんの前に出る立場になるって自覚ある?
「高校球児の坊主は美しくて、就活の坊主は醜いってどういうことやねん!」という冷静な突っ込みはいっさい通用しません。
同級生にも、「おまえが面接に落ちるのはその髪型のせい、社会人としての自覚が足りない。」とか言われる始末。
このときはさすがにどうしようもありませんでした(かつらかぶれば良かったのかな…)。
HSPな私は深く傷つき、就職戦線から離脱し、フリーターになってしまい新卒カード失うことになりました。
- 居酒屋のキッチン
- 警備員
- 駐車場の管理員
- 土木作業員
髪型が気にされないアルバイトを選んで転々としていました。
挫折④:犬を飼うはめになる
そんな残念な当時でも、私に付き合ってくれる女性がおりまして、その彼女が犬を飼いたいと言い出しました。
同棲はしておらず、遠距離恋愛で、いろいろな場所を飛び回っている女性でしたので、もっぱら世話するのは私でしたが、もともと犬好きだったので、特に反対することもなく、犬を迎えることになりました。
また、恐らくお金に余裕のあるお家柄の女性でしたので、犬の養育費等は結構彼女に頼っていました。
しかし、それからしばらくして、彼女は海外留学に行きたいと言いました。
さすがに私は反対しました。
「命を預かったのに無責任すぎる。」
ただ、彼女とはそのころもう他の話題でも喧嘩が絶えず、あまりに頭にきて、ついに「もう付き合えない!出ていけ!」と言い放ってしまいました。
そこまでは、自分の正義感にある意味酔いしれていましたが、一人冷静になって「あれ?犬の養育費どうしよう?」という現実問題にぶち当たるのです。
犬の養育費を甘く見てはいけません。
- ご飯
- ペットシーツ
- 狂犬病予防注射、ノミダニ予防薬、混合ワクチンの予防注射
- 通院代
- 出張や旅行時に預かってもらう際のペットホテル
- シャンプーやトリミング
- カバンやリードなど身の回り品
本を見ると、これら生涯で300万円かかると書いてあるではないですか!
「300万円て、楽天で大量買いした100個5000円のカロリーメイトで暮らしている俺に、払えるわけねぇ!」
フリーターをやめ、なんとか正規職員の座を得るしかなくなりました。
さてどうしよう…、新卒一括採用大国の日本では結構な難題です。
前を向く③:公認会計士を現実にする
私が考えた選択肢は3つでした。
- 田舎の祖父母の農地を継ぎ、農家になる。
- 剣道三段を持っていたのでそれを生かして警察官になる。
- 親に嘘をつき続けてきた公認会計士を現実のものとする。
農家が一番容易な選択肢でしたが、コンプレックスの塊だった地元に戻るのはどうしても受け入れられませんでした。
警察官は、受験勉強が必要なのと、年齢制限もあり採用される保証がない、なにより、繊細な私に厳しい警察の上下関係が勤まる気がしない。
しかし、公認会計士が、現実的には最も難易度が高いものでした。
それでも、次の理由で公認会計士を目指すのが最も全てが丸く収まる選択肢だと判断しました。
- 新卒じゃなくても採用されるため、逆転可能である。
- その当時は、内部統制監査導入で人出が足りず、合格率、採用数ともに比較的楽なレベルだった。
- どうせなら、せめてダメ息子の親孝行もかねて、今までのウソを現実にするのが圧倒的にかっこいい。
- 300万円の犬の養育費を払うだけの給与が、若くしてもらえる。
- 勉強をやると決めた時の集中力は、過去の成功体験で実証済み。
そして、資格の予備校のTACに申込み、愛犬を膝に乗せて勉強を続ける日々が始まりました。
しかし、マルチタスクが苦手なHSPですから、途中でバイトとの兼業が辛くなってきます。
そして、退路を断って、バイトも辞め、勉強に集中することにしました。
朝7時にTACの水道橋校に行き、朝の答練を受け、そのあと、授業もしくは答練を2コマ、講師にも質問攻め、帰ってすぐに猛復習の日々。
1日12~14時間は勉強していたと思います。
散歩をおざなりにしたり、何か気にいらないと怒っておしっこをまき散らす愛犬も、予備校のテキストや答練には不思議と一切いたずらしませんでした(えらい!)。
そして、猛烈な努力のかいあって、無事に試験に合格することができました。
バイトをやめて収入がなくなってしまったせいで、たまったクレジットカードのリボ払い残高が100万円ほどになってましたが…。
ほんとにギリギリの勝負でしたね。
挫折⑤:突然やってきた就職氷河期
公認会計士試験に無事合格したのちは、合格者の大半は監査法人という場所で実務経験を積みます。
しかし、この年は2009年、リーマンショックによる景気悪化と前年の公認会計士試験の合格者の出しすぎで、合格者が激減しただけでなく、監査法人の採用枠はほとんどありませんでした。
(参照:IFRSフォーラム「公認会計士試験合格者数が4割減、それでも就職難か」)
採用されるのは、現役大学生、女性、帰国子女、正規職員での前職経験あり、ばかりで、フリーター経験しかなく、26歳になる坊主頭の男には、願書提出だけで翌日「お祈りメール」、運よく面接があっても面接官はやる気がなく数分で面接終了など、ほぼ無理ゲー。
同期合格者で監査法人に採用されたのは半分ほどだったのではないでしょうか(なお、2021年現在は全然違い、就職状況は改善されています)。
「思ってたのと全然違う!」
前を向く④:拾う神あり
それでも諦めるわけにはいかず、エージェントを回ったり、中小規模の監査法人まで願書を出しまくりました。
その中で、1社だけ私に目をつけていただいた監査法人がありました。
採用担当パートナーは、採用されてしばらくした後に、君だけ1人光り輝いてみえたと仰ってくれました。
皆が採用活動に疲弊していた中、最後まで希望を失わない姿勢がよかったのか、坊主頭が単にテカっていたせいか、それとも、面接官の皆さんが、数十人面接した挙句の私が最後の一人だったそうなので、面接官’sハイにでもなっていて、運がよかっただけかもしれません。
ただ、あの時私を拾ってくださったご恩は、一生忘れることはないでしょう。
あのときの採用がなければと今考えると…考えるのはやめよう…。
この場を借りて、あのとき私を選んでくださり本当にありがとうございました。
(プロフィール③に続く)